Universal Design  Vol.20
■補助犬と建物 ■

第2設計部 伊藤彰人(2004.05.17) 

 まちで、補助犬に出会ったことはありますか。郊外のアウトレットモールやヨーロピアンコンセプトの施設では、多くのペット連れ客を見ることがあります。しかし、その中に補助犬を見ることは希のような気がします。無論、その絶対数が非常に少ないことが大きな原因かもしれません。
やはり、私も今までは盲導犬くらいしか見かけたことがないと思います。盲導犬はハーネスをつけているので一目瞭然です。補助犬とは、「盲導犬、聴導犬、介助犬」の3種類をいいますが、聴導犬と介助犬については、これまで、目に見える表示方法がありませんでしたので、もしかすると私が見た中にいたのかもしれません。この2種類の補助犬については、「身体障害者補助犬法」(H14年10月施行)により、表示方法が示されています。もし、補助犬かどうか不明であれば、事業者は直接使用者に確認を求めることができ、使用者も「認定証」や犬の衛生面等を証明する「身体障害者補助犬管理手帳」等を携帯しています。
 「身体障害者補助犬法」はH14年10月より施行され、国や地方公共団体の施設、公共交通機関への同伴、使用が自由となり(民間の事業所や住宅は努力義務)、H15年10月からは、不特定多数者が利用する施設(ホテル、デパート、レストラン等)も同伴が自由になりました。しかし、この法律も始まって間もないせいか、まだ利用を拒まれるケースもあるようです。本法では、あくまで一方的に事業者に利用を求めるだけでなく、当然のことながら使用者側の責任(犬のしっかりした訓練や衛生面のケア、迷惑行為等)も唱われていますので、もう少し時間をかけて浸透していくように思います。これらについては、厚生労働省ではリーフレット等で大変わかりやすく内容を伝えています。

 

 

厚生労働省のポスター


 

 

補助犬のマーク(厚生労働省)

 この法律では、事業者側のソフト面の対応が非常に大切であることは明らかですが、われわれ建築設計者はどういうことに気をつけたら良いのでしょうか。以下にまとめてみました。

・ 飲食・物販店舗:飲食店での食事の間、介助犬はテーブルの下でおとなしくしており、利用者の滞在時間が短ければ、特別な施設までは不要のようです。物販店舗でも主としてソフト面の対応が重要のようです。
・ 宿泊施設:ホテル等では、滞在時間が長くなるため、排泄場所が必要になります。施設によって用意すればよいようで、よく使用されるのは、「土の場所や植え込み、コンクリート上、多機能トイレ(シーツを床に敷く)など」(「補助犬受け入れマニュアル」:日本介助犬アカデミー)があげられるようです。私が以前見た宿泊施設では、宿泊室の外に犬舎が用意されているものもありました。犬の餌や食事用具、マット等は基本的に使用者が用意してくるようです。
・ レジャー施設:銭湯やスポーツジムなど、基本的に同伴が難しい場所では、同伴者に預かってもらえれば最適かもしれませんが、本人しかいない場合は、その外部に預かれる場所が必要です。しかし、必ずしも特別管理された場所でなくともよいようです。視覚障害者の利用が多い施設等で、余裕があれば犬舎などを用意するのも良いかもしれません。映画館などでは、同伴して入場していすの下でおとなしくしているようです。ちなみに、補助犬を預ける場合は、使用者の責任となります。


 以上のように見てくると、滞在時間の長い施設では排泄場所(特別な場所でなくとも良い)の設置が求められます。また、共同住宅など場合により足洗い場なども用意すると良いケースもあると思われます。しかし、絶対的に欠かせない建築の設備やスペースは特段ないといっても良いでしょう。あとは、利用者と補助犬の快適性を考えて空間づくりをしてあげることができれば良いと思います。

参考文献:「補助犬受け入れマニュアル」:日本介助犬アカデミー
     「厚生労働省補助犬パンフレット」:厚生労働省

町で見かけた盲導犬
 
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